刑事弁護センター(当番弁護士)

刑事弁護センターの役割

刑事弁護センターには、次の3つの役割が与えられています。

1.適正手続の保障

日本国憲法や刑事訴訟法などの法には、たとえ警察に犯人だと疑われてしまった人(被疑者)であろうと、刑事裁判にかけられてしまった人(被告人)であろうと、これらの人に対して、警察、検察、裁判所がしてはいけないことが決められています。捜査や裁判によって人権侵害を起こすことは、絶対に避けなければならないからです。

例えば仮に本当に犯人だったとしても、何日間も一睡もさせないで行う取調べをしていいことにはなりません。また、事件については捜査機関が証拠を一生懸命集めるべきであって、自白を強要する目的で厳しい取調べを行うことは許されません。このような捜査が歴史的に多くの冤罪事件を生んできたからです。

刑事弁護センターは、人権侵害が起きないよう、被疑者や被告人の利益のために活動する弁護人をサポートします。

2.刑事訴訟制度の改正と運用の改善

日本の刑事訴訟制度には、まだまだ改善する余地があります。

国際的に見て、日本の刑事訴訟制度は遅れを取っていると評価される面が多くあります。取調べの際に警察が被疑者の言い分を十分に聞いてくれなかったり、調書に記載するときに意味を曲解して記載するなどの問題は、取調べに弁護人を同席させることで対処することができます。しかし、日本の法制度ではそのような弁護人立会権が認められていません。

このように、我が国の刑事訴訟制度をより良くするためのポイントは沢山あります。刑事弁護センターの役割の一つは、このような問題に取り組み、刑事訴訟制度をより良いものへと改善するための活動をすることです。

3.弁護活動の充実と向上

個々の刑事事件には、個々の弁護人がついて活動します。被疑者や被告人の利益が適切に確保できるかは、個々の弁護人の活動が大きく影響します。

そのため、刑事弁護センターでは、より良い弁護活動を弁護人ができるように、大分県弁護士会の会員弁護士に向けて、定期的に研修を開催するなどの活動を実施しています。

当番弁護士制度

多くの人は突然逮捕されます。また、多くの人にとって、警察や検察に対して、どのような主張ができるのか、権利を行使できるのか、また自分はこれからどのような処分を受ける可能性が高いのかについて、理解することは困難です。

そのため、大分県弁護士会では、逮捕された方やその家族が弁護士の派遣を要請することができる制度を用意しています。
1回目の要請であれば、無料です。

受付電話番号
097-536-1458
  • 土日祝日・夜間も利用できます。

当番弁護士とは

逮捕された人や、その家族からの頼みに応じ、弁護士が原則24時間以内に逮捕された人に面会する制度です。
1回目の要請であれば、無料です。

当番弁護士からは国選弁護制度(国費により弁護人をつける制度)や、逮捕段階の弁護士費用の援助を受けることができる制度について説明を受けることができます。

この制度は、1990年(平成2年)9月14日に、大分県弁護士会が、全国で一番最初に開始しました。その後、制度は日本全国に広がっています。

当番弁護士の頼み方

自分自身、親や子ども、兄弟姉妹が逮捕されてしまった場合、逮捕された方のために、弁護士を派遣するよう頼むことができます。親族以外でも、法定代理人や家庭裁判所に選任された保佐人も、逮捕された本人のために、同様に頼むことができます。

頼み方は、まず①逮捕された方の氏名、②逮捕された方が今いる場所(「〇〇警察署」など)、③分かる範囲で逮捕の理由となった罪の名前(暴行、窃盗など)をメモして、次の電話番号に電話をかけてください。

受付電話番号
097-536-1458
  • 土日祝日・夜間も利用できます。

平日の午前9時から午後5時までは弁護士会の事務職員が対応しますので、受付のための質問に答えてください。

それ以外の夜間、土日・祝日は、留守番電話サービスにつながりますので、留守番電話の音声に従って、電話をかけている人のお名前と、折り返し先の電話番号を声に出して録音してください。録音から24時間以内に逮捕された方と会うために、担当者から後ほど折り返します。

なお、もしあなたが逮捕されてしまったら、その時点から、取調べの警察官、留置場の警察官、検察官、裁判官、裁判所の職員の誰でもいいので、「当番弁護士を今すぐ呼んで下さい。」と伝えてください。この人達が大分県弁護士会に連絡をして当番弁護士を派遣することができる仕組みが整っています。

当番弁護士は何をするのか

多くの人は突然逮捕されます。また、多くの人にとって、警察や検察に対して、どのような主張ができるのか、権利を行使できるのか、また自分はこれからどのような処分を受ける可能性が高いのかについて、理解することは困難です。

当番弁護士は、逮捕された人に対して、多くのアドバイスをすることができます。例えば、警察や検察が説明した黙秘権の内容がわからなくても、改めて当番弁護士が説明します。警察や検察が説明しないような権利についても説明します。
また、当番弁護士は、あなたから言い分を聞いて、あなたが今後どのような処分になるのかなど、ある程度の見通しを告げることもできます。

このような活動を通じて、当番弁護士が逮捕された方の混乱や不安を軽減解消し、きちんとした刑事手続を受けられるようにサポートすることが、当番弁護士の役割です。

なお、当番弁護士が、そのまま続けて弁護人として活動するには、逮捕された方と当番弁護士として接見(面会)した弁護士との間での話し合いになります。場合によっては弁護士費用を援助するための制度も利用できます。